時の話題 「昆布漁の不振」
稚内漁協の今年1回目の昆布入札会は例年に比べ3週間遅れの9月中旬に開かれた結果2500駄・個上場の大方を占めた4等や加工用が高値を張り、4等が昨年に比べ47%高の1駄(15㌔)約5万円、加工用1等が61%高の3万3千円という高値を付けた。
組合として昆布問屋からの裾物(4等・加工用など)引き合いが強く「高くなるな」(木村専務理事)とは見ていたが、予想を上回る望外の高値に驚きの声も上がっている。
入札会が3週間も遅れたのは7月8日解禁から19日までの旗有り一斉操業の間、1回も採取できず、旗無しの自由採取になり何回か出漁できたものの、製品化が間に合わず入札延期を余儀なくされたもので、天候と波など自然に左右される漁の宿命と言えなくもないが9月までズレ込んだのは聞いたことがなく天候だけでなく漁業者の高齢化も遠因したこともあるのか。
今年は1、2等の高級昆布が少ないのは漁解禁前から言われていたので入札会での上場数の少なさは予想通りともいえるが、〝りしりこんぶ〟は全国有数の高級昆布であり、そのブランドが将来に亘って保たれるか懸念されており、利礼両島でも天然ものは極端に減っているという。
地球温暖化での海水温の上昇、適度(5年に1回位)の流氷接岸がない―など不漁原因はあろうが、漁師がナマコ採りに心血を注いでいることも昆布漁が振るわない一因なのではないのか。
水産業はホタテの成功が物語るよう養殖が主体になっており、自然相手の漁業は大きな曲がり角を迎えている。