時の話題 「沖底船の将来」

 10日ほど前、1本の電話をもらった。「漁船の乗組員ですが、このままピンボッケ(小さいホッケ)を獲り続けると資源はなくなるだろうし、何よりも僕たちの将来が立ち行かなくなる」という内容であった。
 水産庁はホッケやスケソなど将来的な資源回復めざし漁獲制限するよう沖底漁船に求めその補償もあって〝もうかる漁業〟などと称して組合に助成金を出しており、表向き組合は漁獲制限を順守しているようだが、電話の件が真実としたなら稚内の漁業資源枯渇を招く事で看過できることでない。
 本紙は組合公表の魚種別漁獲箱数を掲載しているが、箱に入れないバラの市場上場量は掲載されていない。以前はホッケなどバラ数量も発表されていたが数年前から公表されず現在に至っているわけである。
 底曳き王国の名をほしいままにした稚内の沖底業界。往時60隻以上もあった沖底船は昭和52年の旧ソ連200㌋専管水域設定、同62年と2回に亘る大幅減船もあって今では6隻まで減ってしまった。船も老朽化しており新造船も造らなければならないのだが、その資金力がある船主は何人いるのか。
 その中での漁船員の悲痛ともいった訴えに船主、組合はどう対処しようというのか。経営上、背に腹は代えられぬのは分かるが将来を見据えた場合、己が首を締めていることにならないか。
 北の海の漁業資源量が縮小する中、ジリ貧減少を辿り1隻また1隻廃業していくことなきよう将来を見据えた経営戦略が今まさに求められている。

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