時の話題 「横綱の強さ」
3横綱、2大関が休場するという秋場所を制したのは一人横綱の日馬富士であった。大関豪栄道との本割、優勝決定戦を圧倒的な出足で薙ぎ倒し自身9度目の賜杯を手にした。
それにしてもだ、一時は三つの差をつけた豪関にとって正に痛恨の場所であった。10連勝したあとの12、13日目の平幕力士の連敗が痛かった。悔やんでもしょうがないものの相撲の奥深さを知ったものであり、大して広くない土俵上では少しでも弱気になれば土俵下ならまだしも奈落の底まで突き落とされてしまうという事である。
3連敗しても諦めずに誠心誠意相撲を取り切った日馬関には賛辞を送るしかないものの、その精神力たるや、あの小兵で綱を締めることができたのは負けん気であり、安馬時代から目を掛けていた筆者としては喜ばしいことで、一方、豪関には引かないことと共に正攻法だけでない揺さぶりの相撲を期待したい。
11月の九州場所は白鵬、稀勢の里、鶴竜、高安も復帰した激戦が予想される。稀勢関は兎も角、鶴関は場所の戦績いかんでは進退問題も。鶴関も引く癖があり前褌を取る速攻を期待したい。
関脇に陥落した照ノ富士に関してはヒザを治すのが先決で、完治すれば再び大関昇進も若いので夢ではない。
土俵には金が落ちている。懸賞金は1本6万円(勝利力士、相撲協会各3万円)など十両以上の力士になれば給料も当たる。正に実力の世界で強ければ番付が上がり最高位は横綱だ。
綱を張る割合は1%もないだろう。日馬関の今場所に精神力の強さを見た。