時の話題 「皆んなで乗ろうよ」
本紙記者とは別に一般聴講者として商工会議所、市主催のJR問題フォーラムに参会し強く感じた事がある。講師の岸先生(北大)はじめ市長らパネリスト4氏とも意気込み十分で、聴講する側も330人用意された席に空きがないことを物語るよう真剣に耳を傾け有意義な集まりだったということである。
大正12年、稚内~旭川間が開通し全線開業となった宗谷本線は、昭和50年との比較で旭川~名寄間で利用者が4分の1まで減り、その先の稚内間は5分の1まで減ってしまい、100円稼ぐのに6万1800円ものコストがかかる。大きな会社とはいえ、これほどの赤字を垂れ流しては会社の存続はなく、よくここまで持ち、そして現に運行していることに驚きを禁じ得ないし、公共交通という使命をよくぞ全うしていてくれるものと感謝申し上げたい。
私事で恐縮するが故郷稚内に戻って35年経つが、JRを使ったのは2回しかない。筆者ばかりでなく多くの人が同じような利用状態であろうし、正に苦労、他人は知らずの典型であろう。
このJR離れは道路や航空網の整備によるもので、中でも道路では獣しかいないような山の中でも立派な道路が造られ、高速道路は兎も角、地方の町中を通らないバイパスなんぞは地方切り捨てにも結びつき、東京の霞ヶ関と永田町の地方を何も考えていない証であり、この愚策が破綻状態にある北海道と四国JRの運営をもたらしたものであり断罪したい。
栗田悟道建設業協会副会長が言った「皆んなで乗ろうよJR」。耳に残った。