JR宗谷線存続向け考察深める 商工会議所、稚内市主催のフォーラムに330人参会
稚内商工会議所、稚内市主催のJR宗谷線の存続を考えるフォーラム「宗谷の持続可能な交通体系の構築に向けて」は24日午後、ANAクラウンプラザホテル稚内で330人余りが参加し開かれた。
昨年11月、JR北海道が発表した単独での維持が困難な線区の一つに宗谷線も含まれ住民に不安が広がる中、宗谷線の存続に向けて稚内など地元の状況を把握し情報を共有するため開かれたもので、北大大学院工学研究院准教授で道の鉄道ネットーワキングチーム(WT)の座長を務める岸邦宏氏が「鉄道のあり方を地域で考えるために必要なこと」と題し講演した。
WTはロシア国境に接する宗谷線を維持すべきとしているが、鉄道のあり方を地域で考える上で現状の鉄道の必要性を形にすべきとした岸氏は「所要時間の比較で稚内~旭川間はJRの特急で3時間45分に対し車は4時間14分かかり、路線バスもなく都市間交通を考えていくとJRの優位性がある。こういうデータを積み重ねていくことで鉄道の必要性を訴えていき、住民にとって公共交通機関は何なのか考えなければいけない」と訴えた。
続きパネルディスカッションがあり、小山俊幸JR北海道専務取締役が「稚内~名寄間の区間は年間30億円の費用がかかり、収入は5億円しかない。収支を改善するためには利用促進をしなくてはならない」とし、工藤市長は宗谷本線存続に向けた地域の取り組みなどを報告した中で「WTの報告によって存続が保証されたとは決して思っていない。存続へ向けた努力は続けていく」などと話した。
最後に「利用促進しコストカットに努め赤字を解消し、制度活用し鉄道を支える」(小山氏)、「マイレーン意識を持ち皆んなで乗りましょう」(栗田悟道建設業協副会長)、「予算獲得には他の地域の協力も必要」(齊藤敬一郎道運輸局交通政策部長)、「以前は冬こそJRで安全かつ信頼もあった。離島など含め地域の人間が声を出す市民運動をし、何としても宗谷線を残す」(工藤市長)、「JR利用こつこつと、道民、国民全体の問題とする上で宗谷線での取り組みが最も早いのでは」(岸氏)などと述べていた。