時の話題 「踏ん張りますか」

 先祖の霊をキュウリの車で迎える盂蘭盆を終え、その霊は再びナスの車で今住む世界に旅立った。きょう午前中、お寺で盆提灯を仕舞う作業を見かけた。お盆の薮入りを終えた人たちのUターンでまた普段の光景に戻った故郷。慰霊は勿論、さぞ美味しい物を食べ忙しいながら充実した日々を過ごしたことでしょう。
 盆が過ぎると日に日に秋風が吹くようになる最北のマチに住み思うのは何もない所だが何かしら落ち着く。
 日々暮らしている我々でさえ、そう感じるのだから数カ月に一度や数年ぶりに故郷を訪れた人たちは居心地のよさに明日への活力を得たことだろう。
 進学し、あるいは仕事のため、そして病気で高齢で稚内を離れた人たちにとって安息の数日だったか。
 小欄で何度か触れているが、筆者は生まれ故郷で亡父の先祖の墓参りに紋別を訪れた。叔父、叔母は元気だが齢を80年ほど重ねており壮健といっても寄る年波には―との思いをしている。
 紋別のあと、新盆を迎えた母方の叔父の自宅に行き線香を上げ、東京に居る時に世話になった叔母が眠る旭川空港近くの霊園にお参りし日帰りするという強行軍のため疲れたものの、年中行事の役割を済ませたという安堵感なのだろうか、いつもの遠出とは違う疲労感ではあった。
 故郷などに墓参りした誰もが思う先祖を敬う心持と共有する達成の感覚に近いものがあるのか。
 今年もあと4カ月余りとなり何事も達成感乏しい身にとって、お盆を機会にひと踏ん張りしますかね。

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