時の話題 「安寧を祈って」
お盆(盂蘭盆)を迎え車も人も多くなっている。祖先の霊が年に1回、俗世界下りてくる頃とされ、祖先霊の死後の苦しみの世界から救済するための仏事である。自分がこの世にあるのは祖先のお陰であり、感謝し霊を供養する日である。
60歳を過ぎるとひしひしと感じる時の移ろい。「この前、お正月だったのにもうお盆」と矢のごとしの光陰に、近頃はたじろぐことが多くなってきた。
男性の平均寿命が82歳位まで至っている中80歳まで生きるとし30年ごとに4分割すると最後の章となり、これまでの60年よりも残る20年は誰の人生においてもある意味大切な年月となろう。旅立つ時の幸せか不幸せは別にして、悔いなく一生懸命に生きてきたのか―と自問する時、後悔はないし出来ることはやってきたと回顧することができる人がどれほどいるだろうか。安易に歩んで来なかったろうかと忸怩たるものがあるのでないか。
善い人は夭逝するというのが筆者の口癖でこれまで何十人もの善い人を見送ってきたことであろう。長生きは目出度いことだが、この説に当てはめると「長生きも…」ということになるのだろうが、そんな事を言っても詮ないことではある。
あす15日は終戦記念日。どの家にあっても犠牲者はいただろうし戦中戦後を通して生きるのに艱難したはずである。原爆投下という人類史上ない愚挙の犠牲になった日本人にとって盂蘭盆は痛恨と哀悼など複雑な心持が錯綜した日々になる。
家族だけでなく稚内、北海道、日本、そして世界の安寧を祈っている。