時の話題「カニ密漁防止協定」
今年春には発効か―と見られていた日本、ロシアのカニ密漁・密輸防止協定がいよいよ発効することになったようだ。
野放図なサハリン州からの活カニ輸入は国の資源を不当に減らすことになるなどして警備局の取締りを強化し、日・ロ双方の協定で自粛しようと企図された活カニ密漁防止協定に関し、今年2月1カ月間パブリックコメントを募集し、この間稚内などカニ輸入に係わる事業者が多い都市で経済産業省(水産庁)は現地意見交換会を開き、粛々と準備を進めてきた。しかし両国間で口上書は交わされず延び々々になり揣摩臆測だけが飛び交っていた。
今月9日、経産省が再びパブコメを募集することになったのは、この憶測期間の水面下の日ロの遣り取りを物語ることといえ、ロシア側は今回の協定に関して厳格化したものを求めていたことのようだ。
今年2月段階の協定骨子は協定発効前と発効後をまたぐ期間について曖昧模糊としたものがあったが、今回のカニ取扱いについて船積みから輸入が発効日をまたぐような場合、発効後に輸入できるのは発効以降に船積みしたカニだけとなる―と今年2月の「輸出証明必要ない」から1歩も2歩も厳格化した内容に変わっており、ロシア政府の思い入れに日本政府が応えた内容になっている。
パブコメは10月9日まで受け付け。その後、両国間で口上書を取り交わした後の1カ月後に協定が発効するタイムスケジュールになっているので今年中の協定発効は確実視されている。
稚内港の活カニ輸入は一昨年下半期の1カ月1000㌧以上から漸減傾向を示し、今年は7月までの5カ月間、月200㌧台で推移しているが、協定発効によってどのような変化が起きるのか。
更に(カニ輸入は)減る―との見方がある他方、協定発効による健全性に言及する意見もある。
稚内経済への影響も小さくなく行方が懸念される。