時の話題「イカ漁をヒントに」
利礼沖のイカ釣り漁は今年早くから好漁で8月30日には4800箱が稚内漁協市場に水揚げされた。昨年、この5000箱近いレベルになったのは10月下旬であり、11月中旬の終漁まで最多の日には8000箱まで獲れた日があったが今年のイカ群北上は時期的に早いようである。
1匹100円ほどで食べれるイカは刺し身にしても塩辛でも煮付にしてもよく、酒の肴としてはこれ以上のものはない。マグロのトロなど高くて美味なものに比べ庶民の味というのか、昨年までのサンマと同様、食卓に欠かせない重宝な魚介である。
稚内港の第2副港には多い時で20隻以上の道内外のイカ釣り漁船が集結する。そのイカを荷揚げする時の人達の労賃や燃油など経済的恩恵は相当なものがあり、単に上場数だけの問題でないということを我々は理解しなければならない。
車社会となりGSといえば車が一番のユーザーではあるが、稚内など漁業の町では漁船の燃油も馬鹿にならず、あの60隻も沖底漁船があった時分の収入たるや。それに思いを馳せる時、合点がいくであろう。
このように一つの商売の波及は計り知れないものがありカネだけでなく人脈などにも広く深く影響する。成功者はその辺りを重々承知しており、ゆえ事業を拡大していったのだろう。
イカの水揚げから例によって脱線気味にペンを走らせているが、最近の若い人達は愛想がいいものの人脈づくりが下手なような気がする。自分が好きな人というか気の合う人とは人脈は作れるが嫌いな人、印象の悪い人への広がりは希薄な気がする。
清濁併せ呑むという言葉があるが、嫌いな人を受け入れてこそ己の人格を磨くことができ、相手が何を考えているか―を探ることもできよう。好きな人には「好き」というだけで観察しようという努力がなくなる。
意見が全く違う人の方が成長の糧にはなる。