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 日本の試合が最後になるんだろうと思っていたが、本当に球界を引退するとなると淋しいものがある。日米通算安打4367本という金字塔を成し遂げたイチロー(本名・鈴木一朗)が28年間の現役生活に終止符を打つ時が来た。
 めっきり白髪が増えた風貌に45歳という年齢を感じさせるが、何かを求めようとする目付きの鋭さは今まで通り求道者然しており別次元の人ではある。
 振り子打法を修正しようとした巨人軍V9戦士の一人土井監督の実績を無きが等しいものにしたイチローは日本のプロ野球で7年連続首位打者という実績を引っ下げて大リーグに挑戦し、いきなり新人王、盗塁王、MVPという輝かしい成績を残し、マリナーズ4年目にはシスラーの大リーグ記録を84年ぶりに塗り替えるシーズン最多の262安打を記録。その後も9年連続し200本安打(大リーグ記録)を達成した。オールスター戦史上初のランニング本塁打は筆者の記憶にも鮮明に刻み込まれている。
 記録を次々と打ち樹てたイチローだが、オフに日本に帰国するとテレビに出演しては野球について語る様子は野球バカではない人間の崇高さを感じるほどで、その姿はまさに求道者であった。
 巨人、ヤンキースで活躍した松井選手(ゴジラ)のような劇的な本塁打を打ち勝利の立役者になる派手な選手ではなかったが、ヒットの記録、卓越した肩の強さが物語るよう野球選手として三拍子揃った不世出の選手だった。
 ケガにも強く、天運も兼ね備えていたとも言えよう。