時の話題 「貴関おめでとう」

 大相撲九州場所は小結の貴景勝が初優勝し終えた。思い起こせば初日の稀勢の里戦が今場所を暗示していたのではないか。その1勝を手にした貴関が賜杯を手にし、負けた横綱が連敗し休場に追い込まれるという勝負の世界の綾が凝縮していた取組だった。
 貴関はまだ22歳だというのに師匠の貴乃花を彷彿させるよう「弱い自分に打ち勝つよう」などと精神論をよく述べる。大方の22歳は克己心など上の空だろうが、非情な勝負の世界に身を置くからだろうか、相手に勝つ前に自らを律し己の弱さに打ち勝とうとする。
 宮本武蔵の五輪書ではないが、剣など武道の奥義に通じるようである。
 貴関は父親と共に相撲の世界で粉骨し名門埼玉栄高校時代には世界ジュニア大会で優勝し角界入りし、同期の阿武咲らと鎬を削り番付を上げるなか、師匠の相撲界からの廃業をきっかけに所属部屋を移し、その1場所目に幕内優勝するというのは正に「何かを持っている男」と言えよう。
 今場所の各段優勝者には三段目で宇良もおり、幕下の蒼国来、序二段の光内、序ノ口の鳩岡もケガなど克服した末でのもので、優勝インタビューでの発言も立派な力士が多く感心させられることが多々あった。
 来年1月の初場所は3横綱が出場し、とりわけ稀勢の里は再び剣ヶ峰に立たされるが、貴景勝ではないがこれからの2カ月間、己を見詰め心技体を万全にして臨んでほしい。
 横綱不在という白けた場所にも拘らず孤軍奮闘した貴関には惜しみない拍手をおくる。
 大相撲は面白い。

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