時の話題 「理不尽な人の世」

 事件・事故も災害もその場に居合わせたというだけで犠牲者になる。「誰でもよかった」とする22歳の殺人鬼に38歳の、これからの日本を背負っていくはずだった男性が殺されてしまった。それも新幹線車中の惨劇であり行きずりの犯行であった。
 精神を病み生活も日常のあり様から大きく逸脱した挙句の末の他人を巻き添えにする事件は殺傷に至るケースがほとんどで、大きなニュースとして取り上げられることもあって記憶に残る。
 事の重大性ではシンガポールで開催された米朝トップ会談とは比べようがないことではあるが、日常の生活をよりどころとする市井の人々にとって公共交通機関で起きた無差別殺人のショックは計り知れない。
 何ともなく過ぎるはずだった一日が暗転し奈落の底に落とされてしまった本人。残された家族の心情を思う時何ともいえぬ絶望感に襲われる。人生の不条理に天を仰ぐだけである。
 「今晩のおかずは何にしましょうかね」「テレビは映画は何をしているのかな」「きょう夫の、孫の誕生日。何を作りましょうか」など家庭の主婦としてしようとした〝何を〟が「何で主人が」と絶望に染まってしまう。
 人生に筋書などないのは承知しているが、惨い仕打ちにおののいてしまう。
 この世に生まれ筋書がない人生に間違いなく訪れるのが死と分かっていながら自ら全うすることなく他力で絶たれてしまう理不尽さには絶句しかない。
 安寧を祈るのも、またぞろ同じような愚挙が繰り返されるのか。

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