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 今年春期の芥川賞と直木賞が発表され、いずれも北海道に縁のある人が受賞した。筆者も20代前半に物書き(小説家)を志したことがあり作家としての登竜門になる芥川賞への関心は今だに強くあり自ら言うのも何だが60歳を超えているのに青臭いところがある。
 皆さんは阿佐田哲也こと色川武大氏を御存知だろうか。「離婚」で直木賞に輝いた人で「麻雀放浪記」でも知られマージャン、競輪などギャンブル好きの放蕩三昧の自らの経験を基にした小説を書き一時代を築いた人である。
 彼には突然眠りに陥るナルコレプシー症という奇怪な病気があり飲んでいる時でもマージャンをしている時でもいきなり眠ってしまうというのだから驚きの一方、頭部のほとんどが禿上がり、大食いなものだから図体はバカでかいという風采なこともあり魅力ある人だったようで、色川のあとに直木賞を取った伊集院静氏(女優夏目雅子の夫)も心酔し色川のことを書いた「いねむり先生」を上梓している。
 筆者もそうだったように物書きを目指そうという人間は無頼の徒が多く、そのうち「名を成す」などとの野心だけは持ち自堕落な生活を送ることも多いようだが生活力がない上に心の破綻者も少なくない。我が身を振り返るとよく分かる。
 折も折、伊集院の作品を読んでいることもあり今回の発表には若かりし頃の放蕩時代を思い起こし「あの頃は楽しかったな」と懐かしく想起するのだから懲りない馬鹿者だ。若い記者に言う「真面目だけでは務まらない」は戯言ではない。