李下に冠を正さずとはよく言ったものだ。あらゆる権力が集中する為政者はスモモの木の下で己が被る冠を直そうとしただけなのにスモモの実を盗もうとしたように疑われるという意味で、加計学園の獣医学部新設の過程がまさにその通りだ。
 加計学園の理事長は安倍首相の永年の友人であり何十年も新設が認められなかった獣医学科がすんなり決まったことで国民の間に不信感が募っている中、安倍首相への忖度があり行政が歪められたと公けの場で批判の論陣を展開する前川前文部科学省事務次官。国会閉会中審査の参考人としての質疑でもその姿勢は変わらなかった。
 一方、山本地方創生・行政改革相は国家戦略特区の中での選定に総理の意向など入りようがないの一点張り。
 中央紙の論説通り以前と変わらぬ堂々巡りの感は拭えなかった。
 とはいえど都議選の自民党大敗、安倍内閣の支持率急落の根本的原因は加計問題にあり、休会中審査に応じ参考人を招致したといえど安倍総理、自民党への国民の怒りは収まるものでない。
 「国政(衆参)選挙には批判の受け皿がなく都議選のようなことはない」というのは高を括りすぎであり、一連のハレーションの先には政権下野という暗黒が自民党には待ち受けているやも知れず政局の不透明さが増してきたのは違いない。
 政治の安定化を欠くと政治家が百鬼夜行の動きを示し国情ばかりでなく秩序が保たれなくなり凶悪な犯罪だって増えよう。
 今こそ安定を求めるバランス感覚が国民に必要で、国民主権が試されている。