この業界に入って月日経たず知合いになった吉川勝さん(63)=北友ストアー社長=が6月2日から今年の運航を始めるサハリン航路発着の稚内港国際旅客ターミナルに免税店を開設するという。
 タバコだけ1品の取り扱いだが、吉川さんのことだから来年以降は販売品目を増やすだろうし、何か仕掛けてくるに違いない。人柄も小事に頓着しない人だが、何よりも経済人として凡庸の反対を行く人なので手腕に期待したい。
 吉川さんの父君富雄さんには仕事上のお付き合いだけでなく薫陶を戴き何かに挑戦しようとする進取の精神の旺盛な人だった。その富雄さんの次男である勝さんは故人のDNAを引き継いでおり、ちょっとばかり変わっているが筆者と波長合う数少ない人の一人だ。
 サハリン州との貿易には長く取り組んでおりリンゴや玉ネギなど果物・野菜類を主体に輸出するなか、ロシアとの貿易には〝ゴスト〟など厄介な手続きがあるのに何なくクリアし、現在も独自に用船しリンゴなど輸出している。
 以前、吉川さんに何故サハリンとの貿易を続けていけるのか―と質問したところ「サハリンに信用できるロシア人がおり、その人のおかげです」などと言っていたが、互いに信頼できる関係を築いた吉川さんの人間としての度量の大きさが根っこにあると筆者は確信している。
 先行きが不透明なサハリン航路だが、これまで多くの人が関わり運航した実績がある。小さい事でも着実に続けていくと、濃い霧の中でも針路を違えず対岸が見えてくる。