大相撲初場所で大関稀勢の里が初優勝し角界最高位の横綱もほぼ手中にした。小欄には何度も登場してもらい最後の詰めが甘い力士として辛口の批評をしてきたが、今回の綱取りには「見事!あっぱれ!」との称賛を惜しまない。
 それにしても長くかかった。関取(十両昇進)、入幕(幕内昇進)も史上2番目の若さで将来を嘱望され、入幕後も出世の階段を上がり平成23年11月の九州場所後に大関に昇進し、これまで何度か賜杯を手にする機会をことごとく逃してしまい「万年大関」と化していた。
 転機は昨年の日本人大関琴奨菊と豪栄道の優勝だったろうし、男子たる者ここで踏ん張らなければの気概で先場所(28年九州場所)は白鵬ら三横綱を敗り年間最多勝という記録を成し遂げ今年の初場所に期するものは相当なものがあったろう。
 筆者は若い人たちによく言って聞かせることがある。「人生悩んだ者が勝ちだ」と。ただ悩むだけでは意味がなく悩むようなことに直面した時、考えに考え抜くことで解決の糸口を探り人間として成長し自らの願うことを成就できるという意味がある。
 稀勢関はやれ勝負弱い、肝心な所でてんでダメなど虚仮にされたことだろう。「ここまで精進してきた俺があなたたち(マスコミなど知ったふりの輩)に言われる筋合いではない」と反発したのか。その時の捲土重来を期し諦めずにやってきた結果、今回の金字塔に繋がったに違いない。
 勝負はこれからだ。勝負の世界は甘くなく厳しい。綱に見合った人間力が試される。