また北海道出身の名力士が亡くなった。現役時代には〝ウルフ〟の異名で大鵬に次ぐ31回の幕内優勝を成し遂げた千代の富士の九重親方が61歳という若さで逝ってしまった。すい臓ガンだった。
 北の湖に続く訃報に肩を落としている角界ファン、とりわけ道民は多かろう。相撲王国の名をほしいままにした北海道出身の大横綱の相次ぐ死去は王国凋落を端的に表すものといえ現役力士の踏ん張りを期待したい。
 盛者必衰。今、勢いが盛んでも必ず衰える時が来るという、この世の無常を説く仏教の言葉だが、平家物語の「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」との一説が有名で栄枯盛衰、生者必滅に通ずる。
 角界にあって北海道に代わって栄華を極めているのがモンゴルであって日本人ファンなら誰しも昇進を願っている大関稀勢の里に立ちはだかるのは白鵬、日馬富士、鶴竜の3横綱であり、優勝すれば横綱という道を塞がれてきた。   
 来場所こそは―と稀勢関自身、ファンも熱望しているだろうが、この3人の横綱を負かしての優勝は容易なことでなく、またハラハラドキドキした展開になるのか。
 現理事長の八角親方(保志)は千代の富士の弟弟子で互いに切磋琢磨し2人とも横綱になったが、相撲協会では八角さんの方が出世し九重さんは冷飯を食う格好となった。健康の事もあったかもしれない。現役時代は兄弟子の影に隠れた存在だった八角さんだったが引退後は立場を逆転。世の無常を感じているところでの訃報には無常感を募らせている。