人間、年を取ると記憶力も低下するし動作も緩慢になる、というより鈍くなる。齢82歳の天皇陛下が生前退位を御検討しているということだが分かる気がする。
 数千年続く天皇家の歴史の中で生前退位はあったそうだが、江戸時代後期から200年ほどはなく、明治、大正、昭和と、陛下が崩御し新しい天皇が即位するというのが趨勢になっている。
 太平洋戦争後の日本国憲法で国家元首から国の象徴となられた陛下だが、国事行為の多さは半端でなく、加えて東日本大震災など被災地や太平洋戦争激戦地への行幸啓もあり、それほど御壮健でもないのに、その真摯なお姿には敬服するばかりである。
 日本国憲法を草案したGHQでさえ尊崇の念を忘れなかったという天皇陛下は、日本人にとっては現人神に近い存在であり、行幸啓された町や被災地の国民にとって如何ほどの慰めになったことか。国民に寄り添うように活動される陛下だけに年を召され身体が動かなくなりつつある御自分を憂い、生前退位を申し述べておられるのであろう。
 皇室典範には生前退位について明文されていないそうだが、政府や国会は陛下の御存念どおりになるよう努めてほしいものだ。
 人間は年を取り最期の日を迎えるが、家族や会社、そして社会へ何かを残したいと念ずるものであろう。ましてや天皇陛下ともなれば「日本国民のため」という高邁なお気持ちでの発露であろう。
 退位され、御寿命がいつまでか存じないが皇后様と睦まじく余生過ごされて戴きたい。