憂慮されていたが、まさか現実化しようとは。8月の稚内港貿易で活カニ輸入が全くのゼロとなった。平成元年以来26年と5カ月ぶりのことである。
 ロシア政府は自国の漁業資源保護にプーチン大統領の肝いりもあり躍起になっており、昨年12月10日に発効した日本との活カニ密漁密輸防止協定もその一環であり、北方領土への閣僚の相次ぐ訪問も領土支配を既定事実化し北方4島周辺の漁業資源を守るという国策である。
 従ってサハリン州警備局の密漁船摘発は厳しいものがあり、稚内への活カニ輸入は協定発効後、以前の10分の1程度まで激減したもののゼロという月はなくきていたが、8カ月目にして到頭、憂慮が現実化してしまった。
 稚内税関支署の話では8月、カニ運搬船は8隻入港し荷下ろしたものの〝保税運送〟という形態で別の都市にトラック輸送され、輸送先の税関の実績になったケースもあるだろうし、輸送先で再び船に積まれ海外に運ばれるケースもあるのだそうだ。
 カニは日本人にとって高嶺の花になったが中国や台湾などの外国人観光客には少々高くても需要があり、仕入れる業者にしてみれば仕入れ値が高くても商売としてメリットがあるのだろう。
 稚内港には協定発効以降、毛ガニの輸入は全くなく、7月からはズワイもゼロに。そしてタラバもなくなってしまったわけだが、9月は輸入実績はあるというものの、どの程度のものなのか。
 大手業者の廃業もあり、20年以上続いてきた稚内での活カニ景気は終焉を迎える。