当方が住む近くにはウエンナイ川支流の一の沢があり自然に囲まれているものだから散歩などしていると動物に出会すことがある。数日前にはサギが、そして此方は珍しくないがシカが家の前を通り一緒に住む孫が「 (シカに)触ってもいい」というほど徐々に茶飯事化してきている。
 シカは鷹揚なところがあるが、人間が触っては野生の本能で向かってくるだろうし、何よりもシカだけでなくキツネも出没するので触るなどというのはもっての外のことではある。キツネはエキノコックス虫を体内に持っている。
 散歩といえば今やウォーキングを趣味している人は少なくなく、朝、散歩していると高齢な方々と会うことがあり、朝なので互いに「おはようございます」と挨拶を交わす。子どもたちのように元気でなく、遠慮気味に交わすのが善い。
 どうせ出掛けるならジョギング、そして魚釣りや野球、サッカーなどスポーツと、ただ歩くだけより何か収穫がありそうなことをする方がいいと、人生に野心がある年代の人たちは思うだろう。しかし年を取るとただ歩くだけでいい。何の欲求もなしに何の飾りも要らない。自分の人生を回顧するかのごとく、ただひたすら歩くだけでいい。
 人生最後の20年を迎え会社に、家族に、友人に何を残せるだろうか。こんなことを書くと妻は「またそんなことを」などと言う。
 余計なものは削ぎ落とし淡々と坦々に生き、その日は悔いのないよう迎えようと思っても俗世にたっぷり漬かった身にとって酷なのは言うまでもない。