東日本大震災の原発事故は福島県だけでなく隣りの茨城県にも甚大な風評被害を与えており、ここに来て「低認知被災地」がクローズアップされている。
 福島第一原発から近い順で北茨城市、ひたちなか市、大洗町、潮来市などが太平洋沿岸にあり、漁業は深刻な打撃を受けており、事故が遭った原発に近いということで水揚げされる魚が消費者に売れない。放射線測定器を導入し国より厳しい基準を設け、それを下回っているのに―である。
 観光など多方面に影響を与えており、老舗などは昔からの伝統を守って行きたい―と願うも商品が売れず旅行客が泊まってくれない。大洗町の人が「何年経っても大地震を、そして原発事故を忘れないでほしい」と話す心情を思う時、原発は腹が煮えくり返るほど憎く忘れたいが、原発近くの人たちの苦しみに思いを寄せる時、忘れてはならないという憐憫の情から発露したものであり、今さらながら原発事故の罪深さを知る。
 安倍総理は、ドイツのメルケル首相と臨んだ記者会見でドイツ人記者からの「これほどの被害が出たのにどうして原発を再稼働させようとしているのか」との質問に対し「低廉な電気のためには安全基準を満たした原発再稼働をしていかなければ」などと答えているが、その論理は弱者を置き去りにした強者の考え方との指摘もできよう。
 確かに道内は泊原発の停止により電気料金は2回上がり、オール電化住宅の値上げといったら半端ではなかった。筆者の家もオール電化でこの冬の電気代には仰天するものがあった。居間以外は可能な限り暖房しないようにし切り抜けた。
 庶民感情、企業としても電気代が下がるのは歓迎しているが、「原発もういいでしょ」との思いは道民に増幅しているのであるまいか。
 原発の方がコストが安いから原発再稼働を進めるべきとの論理は危険なものであり、次代のためにも止めるべきだ。