▽勇気と矜(ほこ)りをもって限りなき進歩をそして発展を▽お客様には親切に、早く、正確にそして真の奉仕を▽従業員には安定した生活を、そして幸福を▽会員には良質な資金の供給を、そして公正な配当を▽より強固な基礎を築く為に蓄積を、そして大きな信用を。
 これは昨15日、稚内市名誉市民として浜森市長以来7人目の市葬が執り行われた井須孝誠氏が昭和36年というから27歳の経理課長の時に提案し制定された稚内信金の経営理念である。今も連綿と受け継がれている。
 その信条は「稚内信用金庫は地元と共に繁栄します」。
 今年の正月インタビューで増田理事長は「当金庫一人勝ちではなく地元の企業、そして市民の皆さんが幸せを享受しなければなりません」と言っていたが、井須さんが説えた稚内しんきんの信条は脈々と残っている。
 個人的には平成8年の黄綬褒章、15年の旭日小綬章の受章に際に取材したと記憶している。最初の褒章時には稚内信金理事長だったが、拙い質問に嫌な顔一つせず答えて頂き、確か金融というものの一端に触れる機会となり、その後の記事にも役立ったものだった。
 何せ豊臣秀吉のよう出世した人だけに賛美する他方、逆な言い方をする人もおり、記者として井須さんという人物をどう評価するか―ということで悩んだこともありましたが、一番は直接相対して話をすることで、取材活動など縁もあって個人的に畏敬の念を抱き井須さんと接していたものでした。
 市政や経済界のトップの人たちの年齢差が縮まり、よく言えば胸襟開いて話すことができると共に親近感も生まれており、ジャーナリズムとしてこの先が思いやられる心持がないわけではない。
 50、60代の我々世代は井須さんら先達の教えを胸に傲ることなく、次代を担う20、30代の青年たちに伝授していかなければならないと、肝に銘じる昨今である。