大相撲で横綱の白鵬が前人未到の33回目の優勝という金字塔を成し遂げた。あの大横綱大鵬の32回を抜いたのだから彼も大横綱になる。
 15年前、来日した時には60㌔くらいしかないひょろひょろとした体格で力士はとても無理とみられモンゴルに帰国する直前、入門を許した師匠宮城野親方の眼がねは大したものである。天運が強いのであろう。
 白鵬の相撲を見ていて強く感じるのは攻めの多様さである。四つに組んでの投げ、突っ張り、そして優勝を決めた稀勢の里戦での押しと、相撲の流れに応じた臨機の取口には舌を巻く。引き出しが多いのだ。
 彼の引き出しの多さは優勝インタビューなどの際の話でも窺うことができ、本当に頭の良い人だなと感じることが多い。
 推察するに天性もあるが若い時から相当物ごと、相撲のけい古でも考えてやってきたのだろう。
 それと人一倍の負けん気であろう。勝負があってのダメ押しなど批判される向きはある。しかしそれは勝負の世界に生きる者として欠いてはならぬものであり負けん気と頭の良さ、そして双葉山や大鵬らへの尊敬を忘れない気持ちも立派だ。
 ですから相撲というのは単に勝負というだけでなく人の有り様、人生も垣間見ることでき、酒を飲みながら至福の一刻を過ごす方も多かろう。
 白鵬関はあと2カ月ほどで30歳になる。これまで大きなケガなく優勝回数を重ねてきたが、これからは今までのようにはいかないだろう。連続しての優勝はなくなるのではないか。たまに優勝する時のコメントも楽しみにしている。
 世の中には生きる上で参考になる人はあまたいる。だから一挙手一投足を見逃さず自分の肥やしにしていく姿勢が必要になろう。特に若者は。
 世の中には自分の道標になる人がおり、生き様ばかりでなく機微に触れた時、「得したな」と感ずる。得したな―と感ずる人を多く持つことで自分も向上していく。