シェークスピアの「ハムレット」ではないが、悩んだことだろう。稚内市が抜海漁港にいるアザラシ駆除で銃を使うことを決め、年内に実施することにした。
 アザラシは定置の網を引き破ってはサケを食べタコやカレイ刺し網漁をする抜海地区の漁師に多大なる損害を与えているというのに、稚内市が銃を使うのに及び腰だったのはアザラシが冬季観光資源だからだ。
 「観光か資源保護か」迷った末での銃の使用である。
 漁師からアザラシの漁業被害が口端にのぼってきたのは10年くらい前からだろうか。その頃から抜海漁港の消波ブロックなどにいるアザラシは激増しており、生きるためには魚を食べなくてはならず、その被害額はうなぎ上りに増えていった。
 稚内漁港と稚内市は5、6年前から被害軽減の解決策の一つとして銃使用を検討し2年前には方針も示された。しかしアザラシは稚内の冬季観光にとって重要な観光資源であることから踏み切れずにいたが、今回、英断ともいえる決断をしたわけである。
 ただ銃使用といっても年内に1回しか予定されておらずハンターも2人だけの出動と、多くの駆除は望めず、あれだけいるアザラシ掃討ということでは弥縫策に過ぎないだろう。
 アザラシだけでなくシカ増加も悩ましいどころか大きな被害になっており、人間社会と自然界の動物の共生の難しさを浮き彫りにしている。
 わけてもアザラシ被害は地域住民の収入に係わることであり、今回を端緒にし数カ月に1度の割合でもやるべきだ。
 動物保護もありトドなど海獣駆除での銃使用には頭数に制限があり、アザラシもあるのだろうが住民の生活する権利を守るという観点からも法律を緩やかにする手立てを講じる必要もあろう。
 何せあの頭数である。少々駆除してもゼロにはならないのであり、観光資源の面でも問題なかろう―と思料するが。