「来るものが来た」と稚内税関支署の職員が語っていたよう日本、ロシア2国間の懸案であるカニ密漁防止協定の書簡取り交わしが今月10日にあり、口上書交換から1カ月後と定められているので来月10日からの発効が決まった。
 その報道があった翌日の12日、稚内港の末広、天北埠頭には10隻以上の運搬船が入り、カニのトラックへの積み込み作業が頻りに行われていた。
 ロシア政府、とりわけプーチン大統領は自国の資源が野放図に日本など他国に密輸されている現状を苦々しく思っており、日ロ間の密輸防止協定締結と発効にこの2年間努めており、一旦決まりかけた協定にも注文をつけ厳しく対応しようとし、ここまで発効が延びたという経緯がある。
 過去にはロシア漁船の稚内や紋別など道内への入港を禁じたものの、ロシア側の業者はカンボジアやシエラレオネなどアフリカ各国籍の運搬船に偽装するなど以前と何も変わらぬ活カニの不法輸出に業を煮やした今回の措置なのだろう。しかし前の規制同様、それほど厳しくならないとの楽観的観測もあるが、今回はサハリン国境警備局の取り締まり強化が物語るよう本気のようだ。
 稚内では一時、タラバガニが1㌔1000円台の卸値で売買されており、その恩恵に浴した市民も多くいたものだが、その馬鹿安値からの時代からは変わったといえど、カニ好きの日本人をターゲットにした商売はそれなりの成功を収め、従って稚内の輸入業者も利益を上げてきた。
 協定発効で懸念されるのは稚内や紋別など道内漁港へのカニ輸入が一切なくなり北海道を素通りしてしまうのでないかーということである。
 道内の港に入るカニの大半が密漁によるものだとされる中、ロシアの自国資源を守る方針は揺るぎないものがあり、それでなくとも淘汰されている業者の行く末は厳しいものがあろう。
 今後の動静を注視したい。