時の話題「良い文章に出会い」

 本日の本欄は殺伐とした話題から離れ、朝日新聞に良い文章が載っていたので紹介させて頂きます。その文章というのは「ひととき」という読者からの投稿コーナーでのもので「赤い車 夫との思い出」と題して横浜市の68歳の女性からのものであった。
 夫が元気だった昨年11月に共に白髪の夫婦がためらうも一生で最後の車と思い赤い色の車を買い、買い物やドライブを楽しんだのだが、今年6月、夫が急逝したことで運転できない女性が「もうこの車とはお別れです。とっても短い間でしたが、私達夫婦に楽しい思い出をたくさん作ってくれました」という言ってみれば何でもない文章なのだが、赤い車と白髪頭の老夫婦という対比が絶妙で、文章には当然色はないのだが、赤と白の色が頭の中に広がりそのコントラストの妙もあり、平易な文章構成にも難しくしようとしない秀逸さを感じるものがあった。
 普段、何やかやと文章を書いているが、頭の中に色というものを読者に呼び起こすものなど書いたことがない身にとって、この文章に触れた1分ほどの時間は貴重なものとなり、小欄に書いてみようと想起させた。
 これまで唯我独尊で生きてきた自分も最近ようやく他人のことを考えれるようになってきたが、元々持つ魂は変わるものでない。然らば如何にして人間力を向上するかというと他人と会い話しをし、今回のように心に響く文章にどれだけ接することができるかであり、今回は良い縁となった。
 この“赤い車”には「次に乗られる方が私達(夫婦)と同じよう楽しい思い出をたくさん作ってくださることと、無事故でありますことを祈っています」と結んでおり、その人間性にも感服したところがあった。
 人生を否定しないという女性の意気込みが伝わり久しぶりに頷かせてもらう文章に出会った気がした。このように新聞のコラム、投稿は宝の山である。

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